びび庵

今日という新しい日に

退院の朝

待ちわびた退院の日を迎えました。

前の晩は興奮してなかなか寝付けず、夢ばかり見て朝を迎えました。起床の合図と同時に飛び起きて1番乗りで洗面所へ。

前日にほとんど荷造りも終えていたのでさっさと着替えて待機。朝食をいつもの2倍速で食べて、ナースステーションに挨拶をした後すっ飛んで会計をすませ、小走りで病院を後にしました。

すっぴんを隠すためにニット帽を深くかぶってマスクを着用し、病院前に停まっていたタクシーに素早く乗り込み自宅へGO!

6日ぶりの我が家。玄関のカギを開けて『ただいまー』と靴を脱ぎ、あたりを見回しましたが猫の気配がしません。いつも玄関が開くと同時に出てくるのに・・・名前を呼んでもウンともスンともです。

(もしやどこかで死んでいるのでは・・・)

恐る恐る2階に上がり、名前を呼ぶとしばらくしてか細く『ミャ~』と鳴き声が聞こえ、寝室のベッドの下から猫が這い出てきました。

そしてさっきより大きな声で『ナァ~オ(どこ行ってたんだ!?)』と言わんばかりに上目遣いにじーっと睨みつけています。

私は素早く抱きかかえて、猫の顔に頬ずりしながら『ごめんね。ごめんね』と謝りながら泣きました。『もうどこにも行かないからね。ずーっと一緒よ』

しばらくのあいだ猫と涙の再会をして、家の中の点検や掃除、荷ほどきをしていたら午前中はあっという間に過ぎていきました。

ひと息ついて南向きのベランダで、空を見上げながら抱いている猫に言いました。

『やっぱりおうちが一番だねー』

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入院生活

つづきです。

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無事に手術が終わり、翌々日の朝には点滴の針が抜かれて弾性ソックスを脱ぎ、腹部に少し痛みがあるものの、普通に寝起きができるようになりました。

この日、朝の回診が終わってベッドでくつろいでいましたら、カーテンを開けると同時に『おはようございますー』と若い男女が顔を覗かせました。

(誰だ?)

この時まで忘れていたのですが、入院した日か翌日の手術前に、担当の看護師さんから『看護実習生の相手をお願いできますか?』と言われて『いいですよ』と言ったのを思い出しました。その後彼らは退院前日まで朝夕やってきて、私を楽しませてくれました。

どんどん歩くように、と言われていたし暇なので病棟内をうろつき、病院建物の造りを観察したりしました。それで分かったのは、どうやら南向きで陽当たりのよい部屋は個室のようです。個室は追加料金が発生することもあって利用しませんでした。

廊下を挟んで4人ずつのベッドが並んでいるのが、薄暗い北向きの『シベリア(別称)』部屋です。今回あてがわれた『シベリア』は陽当たりに関しては残念なものの、結果的に個室より4人部屋で良かったと思っています。

プライベートスペースはカーテン一枚で区切られているベッド周りだけですが、同室の方々が同じような手術を受けているのが分かって、会話はしなくても、にわか同士のようで心強かったです。

人それぞれ病状や手術の仕方、回復の度合も違うので一概には言えませんが、すでに手術を終えて退院する人がいることを間近で知れるのは安心できます。自分の回復状況が順調かどうかの目安になりました。

そして自分より後で手術をする人には、心の中で『頑張って!』と応援しました。

***

入院中は良い天気が続いていました。昼間は日光浴がてら少し離れた場所にある南向きの面会スペースで、本を読んだりお茶を飲んだりして過ごし、売店に行ったり、病棟内のコインランドリーで洗濯もしました。

こうして時は過ぎ、術後の経過も順調で、予定どおりの日に退院が決まりました。

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手術の前後と翌日

治療の記録がつづきます。

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同室の人に昼食が配膳されたころ、看護師さんがやってきて言いました。『さあ、手術室へ行きますよ~ 靴を履いてくださいね』

手術室まで歩いて行って、終わったらベッドでここに戻るんだそう。

いよいよとなりました。

もう後戻りはできませんが、(ここで、やっぱりやめます!って言って猛ダッシュしたらどうなるんだろう)などと想像しながら、色々な機材が並ぶ細長い通路を看護師さんの後ろについて歩きました。

手術室には担当医師のY先生と麻酔科の先生、他に3,4人くらいの看護師さんが待機していました。

体の幅ギリギリくらいの細いベッドに仰向けになるよううながされ、麻酔の先生が顔を覗き込むようにして言いました。

『今から麻酔の点滴をしますね。ゆっくり呼吸してください』

私は天井を見つめながら自分の呼吸を観察していました。

***

暫くして、ガムが引っ掛かったような、吐き出したいのに出せないような、猛烈な違和感を喉に感じ『大丈夫ですよ~ 終わりましたよ~』という声が聞こえました。

(!?)見慣れたカーテンが見えて、どうやら手術が終わって部屋に戻ったようです。

窓の外は日が暮れていて真っ暗でした。タイムワープしたような不思議な感じ。

脚には血栓予防の器具(エステで使う、ふくらはぎを揉むようなもの)が付いていて規則的にシュポーシュポーという音が聞こえます。

看護師さんに『痛みはどうですか?』と尋ねられ、そう言われると痛い気がしてきて『ちょっと痛いです』といったら座薬を入れられました。

朦朧としながら枕元のスマホを手に取り、友人からきたLINEを確認してまた寝ました。

薄暗い中、天井と点滴が落ちるのをぼんやり眺めながらうつらうつらとその夜は過ぎていきました。

***

明けて翌日。

あさイチでベッドから立ち上がれるか、歩けるかの確認後、尿道カテーテルが外され、点滴台を杖替わりに自力でトイレに行きました。

食事は昼からで、重湯と少しのおかずとお茶が出ました。夕食も似たようなものだったと思います。

お腹の痛みは思ったほどではなく、処方された痛み止めで十分でした。

ただ、この日は緊張が取れてどっと疲れが出たのと、点滴が続いていたのでトイレに行く以外は寝て過ごしました。

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手術当日の朝

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つづきです。

前の晩は9時就寝だったので5時頃には目が覚めていました。

起床時間の6時になり部屋の電気がパパっと点いて、看護師さんが窓のカーテンを開けに来ました。

窓の外は暗く、まだ夜明け前です。

洗面を済ませてベッドに戻り、体温と血圧を計ってもらい体調のチェック。いずれも問題なし。

そして予告どおり朝食は無し、で、水は飲んでよし、コーヒーはダメと言われる。

8時をまわったころに経口補水液と、なんたらウォーターを1本ずつ飲むようにと看護師さんから渡されました。血栓予防の弾性ソックスも履いて、午後からの手術に備えます。

しばらくすると担当医のY先生が来て手術のお話。予定どおり午後一番で手術です。

10時頃にまた検温と血圧測定。お腹すき過ぎで血圧低め。水分はこれ以降取るなと言われて、もう動かずに寝ていよう、と横になりました。

・・・

ところで、昨日の入院時から思っていたのは、部屋が寒いこと。同室の2人は鼻をズルズル言わせて、しょっちゅう鼻をかんでいます。

北向きだから窓からの日差しも望めず、窓の外に広がる薄暗い原っぱを眺めながら(病院というより収容所だわ)と思ったりしました。

暇に任せて何気なくこのことを友人にLINEで伝えると、たいそう気の毒がってくれて、温まるものを差し入れしたいと病院に申し出たら家族以外はダメだと言われた、と憤慨していました。この日から2人のあいだで病棟を『シベリア』と呼ぶことにしました。※後日談として、この友人が病院に部屋の寒さを抗議(?)してくれたらしく、この日を境に暑いくらいにまで部屋の温度が上がりました。

それにしても昼までがとても長く感じました。

つづく・・・

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入院当日

何があったの?という方は、始めから↓

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前の記事↓

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さて、年が明けて半月経ち、とうとう入院する日になりました。

この日は寒いけれど快晴で入院日和(?)と相成りました。

11時に家を出ればよいので、余裕のある朝。

普段どおり朝のルーティンを済ませて書類と荷物を確認。

やっぱり一番の心配は愛猫のこと。

入院6日間の中1日、猫を飼っている友人にシッター(エサとトイレの世話)をお願いしました。

そして当日の朝、留守番を頑張るようにと何度も猫に言い聞かせました。これは入院が決まってから毎日のように言っているので聞き飽きたかのように

『ふにゃ~』と気のない返事。

それでも心配は尽きず猫の顔を両手で挟んで『ほんとに大丈夫ね?頑張るのよ!』と言うと『しつこい!うるさい!』と言わんばかりに振り切って別の部屋に行ってしまいました。

家を出る間際に夫と先代猫たちの写真に『行ってきます。留守中見守ってください』と手を合わせて、いざ出陣。

病院へは毎回車で行っていたのですが、入院中のパーキング利用はお控えください、とのことだったので、タクシーで行くことにしました。

***

到着後、受付で入院手続きを済ませるとすぐに病棟へ案内されました。

まずナースステーションの横で身長と体重を測定。自己申告よりも身長は2㎝低く、体重は2㎏多くてちょっとビックリ。身長は寒くて背中が丸まったから、体重は寒くて沢山着込んでいるから、と冬の寒さのせいにして自分を納得させました。

病室は3階にある4人部屋で、窓際のベッドをあてがわれました。窓は北向きで薄暗いです。まあ、どうせ寝てばかりいるのだから気にしないけれど。

ベッドはそれぞれカーテンで仕切られていて、見えないのですが隣と斜向かいに人の気配がします。向かいのカーテンは解放されていて、名前の書いていないベッドがあり空いているようです。

しばらくすると看護師さんから6日間のスケジュールを渡され、説明を受けたあと荷ほどきしていると昼食が来ました。どれどれ。いただきます。

・・・

手術前で元気なだけに旅行気分でいましたから、想像以上に美味しくなくて心が折れました。おかずはどれも味が薄くて量も少ないのに、ご飯がてんこ盛りで食べる配分に悩みました。

そして食べ終わるころ看護師さんに『食後にこれ飲んでくださいね~』と怪しげな飲み物を手渡されました。

どうやら下剤のようです。明日の手術前までに出し切れとのこと。薄めたクエン酸水のような味でした。

***

昼食後、まったりとベッドに横たわりながら、緊急時の連絡先を引き受けてくれた友人にLINEで入院を報告。術後に担当医から彼女に連絡がいくことになっていることも伝えました。

病院内を探検がてら売店に行きお菓子を買ったりもしました。

夕方にシャワーを浴びて再びベッドでくつろいでいたら『おへそのお掃除をしまーす!』と看護師さんがカーテンを開けて言いました。手術でおへそを切るらしい。こわいのう。

おへその掃除は2,3分ほどで終わり、その後は持ってきた本を読んだり、うとうとしながら(明日手術だから夜ご飯は無しかな~)と思っていたら普通に配膳されたのでテンションが上がりました。が、昼と同様におかずとご飯の配分に閉口。しかし、翌日は午後から手術のため、朝から絶食で次の日の昼まで何も食べられない、という悲しい知らせがあったので、昼には出なかったみそ汁でご飯を流し込みました。

21時の消灯まで友人とLINEをしたり、本の続きを読みながら過ごしました。

夜中は昼に飲んだ下剤が効いて何度もベッドからトイレを往復しました。

つづきます・・・

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梅の花が咲くころ

今日は一旦、治療日記はお休みして、最近の日常のひとコマと心境を記します。

梅の花が咲き始め、2月になって早くも1週間。ついこのあいだ年明けしたばかりなのに!早い早い!

そして、夫が亡くなって丸8年経ちました。

当時のブログ↓

ottotosibetsu.hatenablog.com

先日、命日に車で30分ほどのところにある霊園へお墓参りをしてきました。

夫は晴れ男だったので晴れるかと思いきや、その日は薄曇りの朝でした。そしてとても寒かったので、午後になってから墓地へ向かいました。すると到着するころに陽が射してきました。VIVA!やっぱり晴れ男だ!と、嬉しくなりました。

夫が亡くなって1,2年は毎月命日にお墓参りをしていましたが、この頃ではお彼岸と暮れor正月、それと命日にしかお墓へは行きません。

それはいつもそばにいる感覚で日々暮らしているからです。目に見えなくても、話せなくても通じ合っている感じ。お墓参りも一緒に行っているような気がします。

何かに迷ったときは『ねぇ、どうする?』と心の中で訊きます。そして、彼ならこう言ってこうするだろうな、と解決策が見つかります。

この世に生を受けて、様々な出会いの中で私たちは結ばれその絆は永遠で、彼の魂は私の一部になり、そして私も彼のいる場所と通じている。そう考えることで日々心穏やかに過ごせます。

今では寂しさも恐れも悲しみも手放しました。

現在に至るまで多くの力に支えられて、こうして生きていることを有難いことだとしみじみ思います。

過去は及ばず、未来知られず、現在只今、時々転んでも癒し立ち上がり、光のある方へと歩み続けることが私に課せられた使命と感じいるこのごろです。

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入院前準備 エンディングノートと遺言書

入院前にもうひとつ。

準備として、

必要なものを買い揃えて普段どおりの生活をしながらも気がかりなことがありました。

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病院から渡された複数ある同意書に記入しながら頭をよぎるのは、万が一のこと。

たいした遺産はないので必要ないかもと思いながらも、現在独り暮らしなので万一に備えてエンディングノートや遺言書は以前から作成してあります。

エンディングノートは10年くらい前に買ったものを数年おきに修正しています。

今使っているのは→コクヨ エンディングノートhttps://amzn.to/485Hjkm

今回の手術をするにあたり、このノートと遺言書の見直しをしました。また、ファイルを1冊用意して、必要になりそうな書類(戸籍謄本や住民票など)を入れました。

遺言書は以前のを破棄してあらためて書きました。書き方はネットを参考にして、遺言執行者は亡き父がお世話になっていた司法書士事務所を指名し、エンディングノートに挟んでおきました。

何より一番心配なのは愛猫のこと。

もし私が死んでしまった場合に、何日も一人(一匹)ボッチで家にいることを想像すると泣けてきます。普段から不測の事態に備えてスマホの画面に猫の画像を貼り、財布の中には家に猫がいるので保護をして欲しい旨のメモを入れて持ち歩いています。

この心配事は緊急連絡先を引き受けてくれた友人にも話をして、万一の(手術中に死んでしまった)ときには自宅に入ってもらい、猫の保護とエンディングノートを見るようにお願いしました。

ノートには猫についての情報や面倒を見てもらえそうなところをリストアップして記入し、引き取り手に遺産の一部を渡す旨、遺言書に記載しました。

また、その友人には面倒を掛けることになるので彼女宛の手紙と謝礼を封筒に入れて同じくエンディングノートに挟み込みました。

何度も見直したつもりでも、きっと不備だらけのこの書類を前に、愕然とする関係者の顔が次々浮かびます。ですが、死んだあとのことは生きている皆さんにお任せです。すみません、よろしく頼みます、と言いながらファイルを閉じました。

生きている今、このことを思い返すと『なんとおおげさな』と我ながら苦笑してしまいますが、備え在れば憂いなしです。心の平静を保つために必要な作業でした。

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